2025年08月27日 更新
星海社新書 関東大震災「朝鮮人虐殺」否定論を否定する 偽史研究からの新知見
2025年09月18日(発売日はお住まいの地域によって異なります。)
関東大震災が生んだ偽書を読む。
『契丹古伝』──それは、古代東アジアに朝鮮人・日本人・満洲人・モンゴル人の共通祖先となる民族「東大古族」があったとし、その系譜を契丹の祖と結びつける謎の歴史書であり、戦前の軍人・宗教家である浜名寛祐が「満洲で発見した」と主張した「偽書」である。
今日からみれば、大東亜共栄圏構想へと繫がる戦前日本の帝国主義の発露そのものに見えるこの書物は、しかし浜名が関東大震災時の朝鮮人虐殺を嘆き憂えていたことを知るとき、見え方が変わる。
この偽書の存在自体が朝鮮人虐殺の証拠であるだけでなく、戦前エリート知識人の韜晦の中にあった時代精神、そして現代日本にも蔓延する流言飛語やデマ問題の不条理を浮き彫りにするのだ。
──偽書・偽史研究の第一人者にして、「江戸しぐさ」
*著者プロフィール
原田実 歴史研究家
1961年、広島県生まれ。龍谷大学文学部卒、元昭和薬科大学助手。『江戸しぐさの正体』『江戸しぐさの終焉』(星海社)、『オカルト化する日本の教育』(筑摩書房)、『偽書が描いた日本の超古代史』(河出書房新社)、『偽書が揺るがせた日本史』(山川出版社)、『もののけの正体』(新潮社)、『つくられる古代史』(新人物往来社)、『疫病・災害と超古代史』(文芸社)、『教養として学んでおきたい女性天皇』(マイナビ出版)、『異説・逸話の天皇列伝』(さくら舎)など著書・共著多数。