星海社合流前は芸能プロダクションの書籍出版部門で営業・編集、レコード会社で邦楽の営業・宣伝、スマートフォン向けゲーム制作会社でプランナーなどの仕事に従事してきました。

結婚・出産をきっかけに、「子どもの事が最優先」な生活になり、仕事のやり方を見直す必要に迫られた際に、柔軟な働き方で、尚且つこれまでの経験が活かせる音羽グループの出版社“星海社”へ合流を決めました。

これから手掛ける仕事は、未就学児育児中だからこそ編集できる、子育て世代に向けた企画を進行中です。

星海社で働く魅力は、親会社である“講談社”のリソースを活用できる事です。私個人が感じている魅力を３つ紹介します。

⑴本の販売・宣伝の協力体制がしっかりしています。

総務省統計局のデータをもとに計算すると、本の新刊は１日あたり200〜300冊。普通に出版しても、置いてもらうこと自体が難しい状況です。その点、星海社は親会社の講談社のおかげで、都市部の大型書店やネット書店にしっかり本を置いてもらえます。また、宣伝においても協力体制ができており、私が担当する『アンナ・コムネナ』（佐藤二葉・著）では、これまで『アフタヌーン』編集部のご協力で岩明均さん、『BE・LOVE』編集部のご協力でPEACH-PITさんに帯文をいただいたり、講談社・宣伝部のご協力で星海社と講談社の最寄り駅の護国寺駅に交通広告を掲出させていただく事ができました。

⑵編集の仕事だけに集中できます。

これは、一見あたり前に見えますが、そうではありません。実際に私が過去に所属した編集部では書店からの注文電話、FAXの対応を営業だけではなく編集も行っていて、10万部以上のヒット作が出ると１日が書店さんからの電話対応だけで終わってしまい、新刊の編集は書店が閉店する時間になってからやっとできる……ということもしばしばありました。その点、星海社では編集と直接関係がない業務は基本的にすべて親会社の講談社に委託しているため、編集に集中することができます。

⑶講談社にある食堂や図書館、撮影スタジオが利用可能です。

特にお世話になっているのは撮影スタジオ。撮影が必要になった際には講談社の写真部に相談して、社内スタジオで社内カメラマンさんに写真を撮影していただく事ができて、とても助かっています。

一方で今の星海社には柔軟さに欠ける部分もあります。私個人が感じている内容を３つあげます。

⑴緊急時に編集部まですぐに行ける距離に住む必要があります。

編集部ではリモートワークも実施されていますが、紙の本を扱う仕事では現物を見て調整したり、取材や撮影の際には立ちあう必要があります。また、書類も現状は紙でやりとりする事が多いです。

⑵Appleを愛しすぎる方が技術のトップのため、編集業務は基本的にはApple社の製品で行う必要があります。

社内連絡もiOSデバイス同士でしか利用できないツールです。iPad、MacBookのリースはありますが、普段Androidスマホの方は、iPhoneを追加で導入するなど合流後に作業環境の見直しが必要になるかもしれません。

⑶新卒や社会人未経験の方には厳しい編集部です。

星海社の採用は新卒だけに特化した採用ではなく、新卒向け研修の用意がないため「社会人としてのマナー」など働く上で最低限必要な事はご自身で調べて合流前に学んでおいていただく必要があります。また、書籍というものは正解が決まったものではないため実際の編集業務を通して実践的なスキルを学ぶ必要があり、「どのような仕事を・どのように・どのタイミングでやるか」をすべて自分自身で調整する必要があります。指示された内容や教わった事をマニュアル通りにやる仕事をイメージされている方には厳しく感じる部分があると思います。

「良い点」もあれば「柔軟性に欠ける部分」もありますが、「やりたい！」と思ったら漫画も小説も新書も企画できますし、主体的に仕事に取り組みたいという方には楽しくお仕事が出来る編集部です。お会いできるのを楽しみにしています！